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里神楽を継いで

エッセイ

シリーズエッセイ28
里神楽を継いで
二宮芳夫

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 私が小学2年の頃、家の座敷で、「ヒレーロロ、オーヒヒヒェーロロ」の「口拍子」と扇子で膝を叩く「パンパンパパン」のリズムの音が聞こえていました。頭は丸はげ、真ん丸顔の先生で、私と姉は「コッパンさん」とあだ名を付けて呼んでいました。座敷には出して貰えなかったので障子に穴を開けて覗いてクスクス笑う、そんな子供時代でした。

 「スットコドンのドンドコドン」、里神楽の「三番叟」を習う時の手足の動きのリズムです。来る春祭りに備え、2月末頃より日曜日に数回、笛・太鼓の音と同時に口拍子による里神楽の練習が始まります。お昼は茶碗酒で一杯、昼食後の練習、四時頃上がりにさらに茶碗酒を飲んで解散して行く伶人の方々や神職の方々を見送ったものでした。

 30代中頃、名立谷の神職・伶人方が数人、若くして帰幽されました。名立谷内2箇所で行われていた春祭りの里神楽奉納が人数不足となり、私も舞台に立たなければならない事態となりました。

 先輩神職・伶人は、親父を含め6人。習い始めると、6人6様です。その自己流の部分、癖等を判断修正し、その舞の正しい基本的な形を採りながら、又、私が次の世代へどう受け継ぐかも考慮しての練習で大変なことでした。

 最初の一冬で4つか5つくらいの演目を覚えたでしょうか。子供の頃に見聞きしてきた座敷の様子、太鼓、笛、口拍子によるリズムが、私の頭の中、体の中に残っていたため以外と早く習得出来たと思います。

 昨年初秋の9月24日午後5時半。台風一過、空は快晴眼前に広がる日本海に大きな真っ赤な太陽が沈んで行く、素晴らしい雄大な景観。処は、上越市有間川「たにはま公園多目的広場」。夕日が沈み暗さが増すと共に、風が出て来た寒い寒い、そんな環境の中で、「月待夜の里神楽共演会」が始まりました。真新しい白木の舞台がライトに照らされ、浮かび上がります。四方の竹に張られた注連縄に下がる紙垂、正面の祭壇の御幣束・献饌物の左右を飾るススキが風に揺れます。素晴らしい舞台で里神楽が演じられました。

 上越市桑谷地区・名立地区で構成された「頸城里神楽伝承会」と「NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部」の絶大な協力のもと、予定の観客動員人数の300人を100人も超えたでしょうか。ブルーシート上にゴザを敷き、酒・ビールも入り、大変な盛り上がりの中で13演目を演じ、大盛況で終わりました。

 頸城七谷の東側、山を隔ててそれぞれの谷で神職を中心に守り続けて来た里神楽。今後も正しく受け継いで行く事は大変ですが、氏子の方々のご支援ご協力のもと頑張って行きたいと思います。

(上越市名立区・圓田神社宮司)
【平成24年1月1日「庁報新潟」第94号より】
※内容は庁報掲載時のものです。

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